ファビングとは? スマホと恋人の関係を研究から見る
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ファビング(phubbing)とは、スマホを見ていて、隣にいる人をないがしろにすることです。「phone(電話)」と「snubbing(冷たくあしらうこと)」を組み合わせた英語の造語で、日本語でいえば「スマホに夢中で相手を放っておくこと」。恋人や夫婦のあいだでは、ファビングが多いほど関係への満足度がやや低く、喧嘩がはっきり多い傾向があります。52件の研究をまとめた2025年のメタ分析でわかったことです。ただし、スマホが関係を悪くするのか、関係に満足していないカップルがスマホに手を伸ばしやすいのかは、この分析からはわかりません。
ファビングとは? 日常でよくある場面
今日あったことを話しているのに、相手はスクロールを続けている。一緒にごはんを食べながら、片方がメールに返信している。ベッドでは会話の代わりに、画面がふたつ光っている。これがファビングです。相手が自分のパートナーの場合、研究では「パートナー・ファビング」と呼びます。
スマホをちらっと見るくらいなら、問題ではありません。問題になるのはパターンです。相手が「いまの自分は、画面の中のことより大事じゃないんだ」と感じてしまうことです。
ファビングについて研究でわかっていること
メタ分析:52件の研究、2万人近く
ニーら(Ni et al.)は2025年、パートナー・ファビングについて見つけられた研究をすべてまとめました。52件の研究、58のサンプル、参加者は合わせて19,698人で、さまざまな国のデータが含まれます。その中には、ドイツの163組のカップル(平均で20年以上一緒にいる)を対象にした研究もあります。
主な結果は次のとおりです。
- 関係への満足度: ファビングが多いほど、関係への満足度は低くなります。関連の強さは r = −0.22(30サンプル、9,040人)。結婚している人だけで見ても、同じくらいでした(−0.26)。
- 喧嘩: いちばん強い関連です。ファビングを多く経験している人ほど、衝突をはっきり多く報告しています(r = 0.57)。
- 人生全体への満足度: ここでは、はっきりした関連は見つかりませんでした。
r = −0.22とは、どういう意味でしょうか。小さめから中くらいの関連です。多くの研究で安定して測れる一方、計算上、カップルの満足度の違いのうち説明できるのはおよそ5%にすぎません。スマホは多くの要因のひとつで、関係を切り替えるスイッチではありません。
研究者たち自身が書いていることも大切です。ほとんどの研究は、一度きりのアンケート調査です。そのため、ファビングが関係を傷つけるのか、不満があるからスマホを見る回数が増えるのかは、わかりません。おそらく、両方あるのでしょう。
ファビングしやすい人
メタ分析では、ファビングと何が関連しているかも調べています。いちばん強かったのは、問題のあるスマホの使い方(r = 0.49)。弱いながらも測れたのは、愛着不安(相手に見捨てられないかという不安、0.24)、愛着回避(親密になることを避ける傾向、0.18)、抑うつ症状(0.19)、孤独感(0.14)でした。自己肯定感とは、はっきりした関連はありませんでした。
これは、ふたりにとって役に立つヒントです。いつもスマホを手放せない人が、相手に興味をなくしているとは限りません。不安や沈んだ気分、あるいは単なる習慣が隠れていることもあります。
テクノフェレンス:機器が割り込むとき
ブランドン・マクダニエルとサラ・コインは2016年、結婚している、または同棲している女性143人にアンケートを行いました。大半が、スマホやテレビ、パソコンがふたりの時間や会話、食事をよく中断させると答えています。そうした中断を多く経験している人ほど、テクノロジーをめぐる喧嘩が多く、関係への満足度が低く、抑うつ症状も多いと報告しました。これも一度きりの調査で、私たちが読めたのは要旨だけです。
よく見かける数字
ネットでは「46%がパートナーにファビングされたと感じている」といった数字が出回っています。出どころはロバーツとデイヴィッドの研究(2016年)ですが、私たちは全文を読めませんでした。プレスリリースでしか知らない数字なので、ここでは事実として扱いません。
ファビングがこれほどこたえる理由
親しさは、小さな瞬間に生まれます。ひとりが何かを話し、もうひとりが反応する。スマホは、まさにその瞬間を途切れさせます。メタ分析でも、親密さやお互いへの注意は、ファビングが多いと低く出るもののひとつに数えられています。
それに、口に出しにくい気持ちでもあります。「またスマホ見てる」と言うと、細かいことを気にしているように聞こえる。だから黙っていると、それが少しずつたまっていきます。いざ出てくるときには、たいていまったく別のことでの喧嘩になっています。こういうことをエスカレートさせずに伝える方法は、カップルのコミュニケーションにまとめています。
ファビングを減らすためにできること
ここに挙げるアイデアは、どれも研究で試されたものではありません。研究が描いていることから考えたものです。大事なのは、どちらかが何かを話している瞬間と、誰も意識して選んだわけではない習慣です。
責めずに伝える。 「さっき話してたとき、スマホを見てたから、ちょっと寂しかった」。これは観察と気持ちです。「スマホばっかり見てるよね」は判断で、そのあとには言い訳が返ってきます。
スマホを休ませる場所を2つ決める。 たいていのカップルにとっては、食卓とベッドです。2か所で十分です。家じゅうに適用するルールは、ほとんど誰も続けられません。
何をしているか口に出す。 「電車の時間、ちょっと調べるね」と言ってから見るのと、黙ってスクロールするのとでは、相手の感じ方がまったく違います。スマホを見ることが、ふたりとも知っていることになります。
相手が話しはじめたら、スマホを置く。 画面を下にするか、ポケットにしまう。小さな合図ですが、すぐに伝わります。
その奥にあるものを見る。 スマホをなかなか手放せないと気づいたら、それはそれで向き合うべきテーマで、性格の欠点ではありません。ストレスや孤独、関係のマンネリが隠れていることもあります。正直に話してみる価値はありますし、それでも難しいなら、外の助けを借りてもいいのです。
スクロールを、ふたりですることに置き換える。 夜、習慣でスマホを手に取るなら、同じ10分のための別の習慣が必要です。散歩、カードゲーム、ひとつの質問。アイデアはおうちデートやふたりの習慣にあります。
遠距離恋愛でのファビング
ビデオ通話でしか会えないふたりには、また別の形があります。相手は通話に出ているのに、目がもうひとつの画面に泳いでいて、タイピングの音が聞こえる。これに絞った研究は見つかりませんでした。でもパターンは同じで、遠距離ではより重くのしかかります。その通話が、1日でただひとつのふたりの時間であることが多いからです。
遠距離のカップルに役立つ取り決めをいくつか。
- 最初に、いまちゃんと時間があるのか、何かしながら話すのかを伝える。どちらでもかまいません。ふたりともわかっていれば。
- 「ながら通話」は、はっきりOKにしていい。たとえば料理中や帰り道に。そのときは会話というより「一緒にいる時間」で、どちらも相手の全部の注意を期待しません。
- ちゃんと話すときは、もうひとつの機器を置いて、しばらく通知を切る。
離れていても近さを感じるには何がいいのか、たとえばメッセージとビデオ通話のどちらが満足度と関連しているのか。研究でわかっていることは遠距離恋愛の統計にまとめています。
スマホについて話すための質問
- 私のスマホがいちばん気になるのは、どんなとき?
- 自分では、本当はそうしたくないのにスマホを手に取るのはどんなとき?
- 私に見てもらえていないと感じたことはある?
- 1日のうち、ふたりだけの時間にしたいのはいつ?
- スマホで見ているもので、いつか私に見せたいものはある?
最後の質問は、本気です。スマホは、相手が何かを体験して、それを分かち合いたいと思っている場所でもあります。そうわかれば、スマホは邪魔ものから話題に変わります。
カップル向けのアプリはどう?
はい、フタリもスマホで動きます。ただ、考え方はスクロールの反対です。1日に1回質問が届き、それぞれが自分で答えます。そのあとでふたりの答えを見て、それについて話します。スマホをテーブルに、画面を下にして置いたままでかまいません。通知は1日1回で、フィードはありません。
出典
- Ni, N. et al. (2025): A meta-analytic study of partner phubbing and its antecedents and consequences. Frontiers in Psychology. メタ分析、52件の研究、参加者19,698人、主に一度きりのアンケート調査。全文確認済み。
- McDaniel, B. T. & Coyne, S. M. (2016): „Technoference": The interference of technology in couple relationships. Psychology of Popular Media Culture. アンケート調査、女性143人。要旨のみ確認。
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